第二話「謎の侍さんと出会った僕。」
いわゆるアレだ。
とあるおとぎ話にあったような
「あなたが落とした斧は
金の斧ですか?それとも
銀の斧ですか?」
というパターンには
少なくともなさそう。
むしろ嫌な予感が
ミツルにはした…かもしれない。
その侍姿の
男性は僕のパンを
片手に不思議そうな
表情で見つめていた。
「あ、あのー」
僕はとりあえず声をかけた。
だがその直後に
その侍姿の男性は
僕の事をまるで
人を殺したような事の
あるような顔で睨んだ
(ように見えた)のだ。
(ひぃ!)
僕は思わず竦んでしまった。
しかし実際は
「お前…大丈夫か?」
とその男が川からこちらに向かって
寄ってきたのだ。僕の中では
恐怖感が絶頂に達しそうだ…
いや、もうしている。
「こ、殺さないでぇ~」
僕は怯えて手を頭に
まるで地震時に机の下で
隠れる動作のようなこと
をして身を守った。
すると
「大丈夫だ。
斬るつもりはない。」
とその侍姿の男性は
ボソリとつぶやくと
僕の座っていた
ベンチに寄りかかった。
僕はほっとすると
その男性のとなりに座り、
自己紹介をした。
どうやら男の名前は
イゾウというらしい。
しかし今の時代イゾウという
名前はどこにもいないとおもって
僕にはそれが逆に新鮮に思えた。
こうして僕と不思議な侍姿
の男性であるイゾウとの
出会いは始まった。